肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

ねえ、知ってる? 朝って、本当は戦場じゃないんだよ。少なくとも、私の朝は。

肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

スマホのアラームが鳴るより一足早く、ふわふわの重量感と、かすかなゴロゴロ音で目が覚める。そう、私の専属目覚まし、茶トラのオス猫、ポチ太氏の肉球アラームだ。

「んん……ポチ……もうちょい……」

そう呟きながら、半分寝ぼけた頭で背中を丸める私の上に、遠慮なくずしっと重みが乗る。

そのまま喉を鳴らしながら、私の髪の毛を舐めようとしたり、耳元で「ニャー」と小さく鳴いたり。起きるまで決して諦めないその熱意には、毎朝感心させられる。

会社でも、これくらいの粘り強さがあれば、きっと成果が出せるんだろうな、なんてくだらないことを考えながら、重い瞼をこじ開ける。

目に映るのは、まん丸の琥珀色の瞳と、ピンク色の鼻、そして微かに震えるヒゲ。あぁ、今日もこの子が私の世界を動かし始めるんだな、って思う瞬間。

「はいはい、起きますよー」

腕を伸ばして体を起こすと、ポチ太は私の胸元からスルッと滑り降り、ベッドサイドで背伸びをする。んーっ、と前足を伸ばし、後ろ足もぴんと伸ばす。

この一連のストレッチ、見るたびに「猫って本当に体のラインが美しいなぁ」と感心する。ヨガの先生よりよっぽど様になってる。

ベッドから出てまず向かうのは、リビング。ポチ太は当然のように私の足元をチョロチョロとついてくる。

まるで「早く!早く!」と言っているみたいに、時々振り返っては私の顔を見上げる。その顔は真剣そのもの。「朝ごはん、まだか?」と全身で訴えている。

キッチンに着くと、ポチ太は自分のごはん皿の前でちょこんと座る。

肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

尻尾は期待でフリフリ。カリカリの袋を開けるカサカサ音、そしてお皿にカラカラとフードが落ちる音。この二つの音は、ポチ太にとって世界で一番嬉しい音らしい。音がするたびに耳がピクッと反応するのが、なんとも愛おしい。

「はい、どうぞ」

お皿を置くと、待ってましたとばかりに顔を突っ込む。食べる姿を見守るのが、私の朝のルーティンの一つ。

ガツガツとあっという間に平らげる日もあれば、一度顔を上げて「……足りないんですけど?」と無言の圧をかけてくる日もある。

そんな時は、少しだけ、本当に少しだけ追加してあげる。あぁ、甘やかしすぎかなぁ、と思いつつも、その満足そうな顔を見ると許してしまう。

これが一人暮らしで猫を飼うってことの醍醐味であり、魔力でもあるのだ。

自分の朝ごはん? 後回し。まずはお腹を空かせたポチ太を満たすのが先決。これは譲れない優先順位だ。

ポチ太がごはんを食べ終わると、次は私のコーヒータイム。

豆を挽くゴリゴリという音、お湯を注ぐ時のしずくの音、立ち上る香ばしい匂い。この一連の作業も、私の「目覚め」には欠かせない。

コーヒーを淹れている間、ポチ太は窓辺に移動する。今日の天気を確認するように、外をじっと見つめる。

時々、ベランダの手すりに止まった鳥に気づくと、「カカカカッ」という、いわゆる「クラッキング」を始める。

獲物を前にした猫特有の、あの興奮したような鳴き声。窓ガラス越しで届かないのに、一生懸命な姿がまた可愛い。

私の朝の小さな発見は、この窓辺でのポチ太の観察時間にある。

たとえば、昨日は曇り空で鳥も少なかったせいか、すぐに窓辺から離れて私の足元でゴロゴロしていた。でも今日は晴れ。

日差しが差し込む窓辺で、キラキラと輝く毛並みを揺らしながら、ずーっと外を見ている。尻尾の先だけが、微かに揺れている。

日差しの強い日は、必ずと言っていいほど、この窓辺で毛づくろいを始める。前足で顔をゴシゴシ、体を丁寧に舐める。

柔らかい日差しの中で、自分の体を慈しむように手入れする姿は、見ているだけで心が穏やかになる。

肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

彼にとって、この朝の陽射しは最高の美容液なんだろう。

今日は、毛づくろいの途中でふいに動きを止めて、じっと一点を見つめている。

何だろう? と思って視線の先を追ってみると、小さな埃がキラキラと光の筋の中を舞っているだけだった。

きっと、その埃がポチ太の目には宇宙を漂う未確認浮遊物体にでも見えているんだろう。

そんな、猫にしか見えない世界を垣間見たような気がして、思わずクスッと笑みがこぼれる。

コーヒー片手に、そんなポチ太を眺めている時間。

これが私の朝の「とっておき」だ。バタバタと準備に追われる日々の中で、この数分間があるかないかで、一日の始まり方が全く違う。ポチ太がいるからこそ、私は立ち止まり、小さなことに気づき、心が満たされる。

支度部屋でメイクをしていると、ポチ太はドアの近くに座って、じっと私を見ている。邪魔をするわけでもなく、ただそこにいるだけ。

でも、その視線を感じるだけで、一人じゃないんだな、って安心する。

ファンデーションを塗って、アイメイクをして、リップを塗って……鏡の中の自分は、どんどん仕事モードの顔になっていく。

でも、そのすぐ横には、相変わらずマイペースな毛玉が座っている。このギャップが面白い。

時々、ブラシで髪を梳かしていると、ポチ太が興味津々に寄ってきて、ブラシに顔を擦り付けてくることがある。

ブラシが彼の毛並みを刺激して、気持ちいいのかもしれない。そんな時は、少しだけポチ太の体もブラッシングしてあげる。

ゴロゴロと喉を鳴らしながら、うっとりした顔をする。この信頼しきった顔を見ると、たまらなく愛おしい。

肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

洋服を選んで着替えている間も、ポチ太は部屋の隅っこで丸くなっていたり、私が脱いだ服の上に座ってみたり。私の行動全てを、彼は見守っている。

家を出る時間が近づくと、少しだけ心が重くなる。今日一日、またこの子を置いて一人で頑張るのか、と思うと、キュッと胸が締め付けられるような感覚。

玄関で靴を履いていると、ポチ太は私の足元にやってくる。

そして、ゴロゴロと喉を鳴らしながら、私の足に体を擦り付けてくる。まるで「今日も頑張ってね」「早く帰ってきてね」と言っているみたいに。

「行ってきます。良い子にしててね」

そう言って頭を撫でてやると、ポチ太は一度大きく伸びをして、そのまま廊下をトコトコと歩いてリビングに戻っていく。

あっさりしたものだ。

もう少し名残惜しんでくれてもいいのに、なんて思わないでもないけれど、このクールな感じもまた彼らしい。

玄関のドアを開けて、外の空気を吸い込む。

よし、今日も一日頑張ろう。

後ろを振り返ると、ガラス越しのドアの向こうに、ポチ太がちょこんと座ってこちらを見ているのが見えた。

相変わらず、何を考えているのかよく分からない表情だけど、その姿を見るだけで、私の心はポッと温かくなる。

私の毎日は、キラキラしたイベントがあるわけじゃない。

仕事に行って、帰ってきて、ご飯を食べて、寝る。その繰り返し。

でも、この単調になりがちな日常の中に、ポチ太という存在がいるだけで、世界は色鮮やかに変わる。

朝、肉球で起こされることから始まり、ごはんをねだる声、窓辺で日向ぼっこをする姿、毛づくろいをする優雅な仕草、そして家を出る時に見送ってくれる丸い瞳。

その一つ一つが、私にとってかけがえのない「小さな発見」であり、「ささやかな宝石たち」だ。

忙しい仕事で疲れても、人間関係にちょっと嫌なことがあっても、家に帰れば、このふわふわの温かさが待っている。

無条件に愛をくれる存在がいる。それだけで、明日もまた頑張ろう、って心から思える。

ポチ太は私のちいさな世界の中心。

彼がいるから、私の毎日は希望に満ちている。

肉球アラームと、私のちいさな世界の中心

さあ、今日もポチ太にパワーをもらったから、大丈夫。どんな一日だって乗り越えられる。

だって、夜にはまた、この暖かさが待っているのだから。


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