私の秘密、全部知ってる?言葉を超えた猫との対話

肉球に聞く、私のこころ

私の秘密、全部知ってる?言葉を超えた猫との対話

雨の音は、嫌いじゃない。窓の外の景色がグレーに霞んで、世界から取り残されたような静けさがある。そんな日は、決まってミカンが私の膝の上で丸くなる。オレンジ色の毛玉が、私の太ももの上でふわりと膨らむ。

「ねえ、ミカン。今日の雨、なんだかしょんぼりするね」

私の声に、ミカンは喉をゴロゴロと鳴らすだけで、特別な反応はない。でも、その温かさが、雨で冷えた私の指先をじんわりと解かしていく。ミカンは私の、言葉のない話し相手だ。

私は、都内の小さな編集プロダクションで働く、ごく普通の30代。仕事はそれなりに楽しいけれど、たまに理不尽なことにぶつかったり、将来が漠然と不安になったりすることも多い。恋愛?ええ、まあ、聞かないでください(笑)。友達との時間は大切だけど、一人になって静かに呼吸を整えたい時もある。そんな私の日常に、五年前に拾ったこの小さな命は、いつの間にか欠かせない存在になっていた。

あの日も、雨だった。駅前の小さな商店街の片隅で、段ボール箱に入れられて震えていたのがミカンだった。小さな体で、必死に私を見上げる大きな瞳。連れて帰らないという選択肢は、なかった。あの時の決断が、今の私の人生をどれだけ豊かにしてくれているか、言葉では言い尽くせない。

今日のしょんぼりは、仕事での小さなミスだった。クライアントからのメールに、ちょっとキツい一文があって、それが一日中、心の奥に引っかかっていた。「私の詰めが甘いんだ」「どうしてあんな間違いを」ぐるぐる思考が巡って、気分はどん底。

「ミカンさあ、人間関係って難しいね。私はどうしたら、もっとうまくできるのかな」

ミカンの柔らかい毛並みを撫でながら、愚痴をこぼす。返事はもちろんないけれど、ミカンは私の言葉を聞いているかのように、じっと私の顔を見上げたり、目を細めたりする。

その時、ミカンがゆっくりと立ち上がり、私の手のひらに自分の額をグリグリと押し付けてきた。これは、ミカンの「甘えたい」「大好き」のサインだ。

「ふふ、ありがとう。慰めてくれてるの?」

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ミカンは答えない。ただ、ゴロゴロと喉を鳴らし続け、私の手のひらにその温もりを伝えてくる。その振動が、私の心のささくれだった部分を、まるで猫の手で優しく撫でられているかのように、滑らかにしていくのを感じる。

言葉はない。でも、確かに伝わるものがある。この子は、私がどんな気持ちでいるのか、理解してくれている。私の悲しみや不安を、その小さな体で受け止めてくれている。そう思うだけで、胸の奥が温かくなる。

嬉しいことがあった日も、一番に報告するのはミカンだ。

「ミカン!聞いて!企画が通ったんだよ!頑張った甲斐があった!」

興奮して早口になる私に、ミカンはパッと耳を立て、尻尾をピンと真っ直ぐに立てて鳴きながら、私の足元をぐるぐる回り始めた。これは、ミカンの「嬉しい!」「おめでとう!」のサインだ。

「わあ、ミカンも喜んでくれてるの!?嬉しいね!おやつ、あげようか!」

カリカリのおやつを少しだけお皿に出すと、ミカンは美味しそうに食べる。その姿を見ているだけで、私の喜びは倍増する。人間相手だと、遠慮したり、ちょっと気を遣ったりすることもあるけれど、ミカンにはありのままの気持ちをぶつけられる。そして、ミカンはいつも全力で、その感情に応えてくれる(ように見える)。

私の秘密、全部知ってる?言葉を超えた猫との対話

言葉がないからこそ、私たちは純粋に感情だけで繋がっているのかもしれない。私の声のトーン、表情、体の動き。ミカンの耳の動き、尻尾の振り方、鳴き声のトーン、体の触れ方。それだけで、たくさんのメッセージを交換している。

特に不思議なのは、私が一人で静かに悩んでいる時だ。声に出さなくても、ため息をついたり、眉間に皺を寄せたりしていると、ミカンはそっと私の隣にやってくる。そして、私の体にぴったりと寄り添い、温かい体温を分けてくれる。まるで、「大丈夫だよ」「一人じゃないよ」と言ってくれているみたいに。

ある夜、どうしても眠れなくて、漠然とした不安に襲われていた時があった。将来のこと、仕事のこと、これから一人で生きていくことへの恐れ――。目を閉じるたびに、暗い考えが頭を占領する。

ふと、枕元のミカンに目をやった。月明かりが差し込む部屋で、ミカンは静かに座り、じっと私を見つめていた。その瞳の色は、普段よりも深く、何か遠い世界を見通しているかのように感じられた。

ミカンの瞳の奥に、吸い込まれるような感覚。すると、それまで私を縛り付けていた不安が、すっと溶けていくのを感じた。代わりに胸に広がったのは、言いようのない穏やかな安心感だった。まるで、ミカンが私の心の奥底にある何かと、直接的に繋がっているかのようだった。

気のせい?もちろん、そうかもしれない。でも、あの夜以来、私は確信していることがある。ミカンは、私の言葉にならない気持ちや、私自身も気づいていない心の声を聞いているのだと。言葉は情報伝達のツールとしては便利だけれど、私たちの本質的な部分は、もっと深い場所で繋がっているのかもしれない。

ミカンとの暮らしは、私にたくさんの気づきを与えてくれた。言葉に頼りすぎず、相手の気配や雰囲気を Sensitivity に感じ取ることの大切さ。そして何より、無条件の愛と信頼が与えてくれる、圧倒的な安心感。

私たちは、お互いの秘密をすべて知っているわけではない。私が職場でどんなに疲れているか、どんな夢を見ているか、ミカンが昼間、家で何をして過ごしているか、どんな猫生を送ってきたか――。完全に分かり合えるわけではない。

でも、それでいいんだと思う。言葉ですべてを説明しなくても、分かり合える瞬間がある。お互いの存在そのものが、相手にとっての救いになる。

ミカンは、私がどんなに失敗しても、落ち込んでも、怒っても、変わらずそこにいてくれる。ただ、そこにいて、私の呼吸に合わせて一緒に呼吸をしてくれる。その揺るぎない存在が、私の心の支えになっている。

最近、少しだけ前向きになれた気がする。将来への不安がなくなったわけじゃないけれど、ミカンとの温かい日々があるから、きっと大丈夫だって思えるようになった。困難があっても、喜びがあっても、このオレンジ色の毛玉が、私の隣でゴロゴロと喉を鳴らしていてくれる。

雨の日も、晴れの日も、私の秘密をすべて知っているかのように、ミカンは私を見つめる。その澄んだ瞳と、温かい肉球が教えてくれるのは、「言葉はいらない。ただ、愛があるだけで、私たちは繋がっていける」ということ。

今日も、ミカンは私の膝の上で眠っている。時々、ピクピクとひげが動く。どんな夢を見ているのかな。幸せな夢だといいな。

静かに眠るミカンの頭をそっと撫でながら、心の中で語りかける。

「私の秘密、全部知ってるんでしょ?ありがとうね。これからも、ずっと一緒だよ」

ミカンは応えない。でも、その体温と、静かな寝息が、私に確かな「うん」をくれた気がした。

私の心と、猫の肉球が繋がる場所。そこには、言葉以上の、深い深い愛がある。

私の秘密、全部知ってる?言葉を超えた猫との対話


物語はこれで終わりです。読者の方に、猫との暮らしの温かさや、言葉を超えた絆の尊さを感じていただけたら嬉しいです。


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